日本では発売されないGalaxy S23 FEを見てきた

サムスンのスマートフォン、Galaxyシリーズは日本でも折りたたみモデルなどが販売されていますが、海外ではミドルレンジモデルなど豊富な製品が展開されています。それらの中でやや異色と言える存在のモデルが「FE」の名前を付けた製品。日本ではタブレット「Galaxy Tab S9 FE」シリーズ2機種が登場しましたが、海外ではスマートフォン「Galaxy S23 FE」も発売になっています。

Galaxy S23 FEはチップセットにサムスンのExynos 2200を採用しています。ただしアメリカモデルだけはクアルコムのSnapdragon 8 Gen 1を搭載。スペックは1年前のハイエンドクラスということになります。フラッグシップモデルの「S23」シリーズと同じラインナップであることから、性能もそれなりに高いというわけ。価格は599ドルから(約9万円)とリーズナブル。

本体サイズは158 x 76.5 x 8.2 mm、日本では発売されていない「Galaxy S23+」の157.8 x 76.2 x 7.6 mmと比べるとほぼ同等。ただし重量は209g VS 196gで廉価版ということからか若干重くなっています。外観だけを比較するとほぼ同じに見えますが、価格はS23+のほうが999.99ドルと400ドル近く高くなっており、Galaxy S23 FEのコスパの高さが光ります。ちなみに下の写真でグリーンがGalaxy S23 FE、ピンクがGalaxy S23+です。

Galaxy S23 FEのカメラは広角5000万画素、超広角1200万画素、3倍望遠が800万画素。これまたGalaxy S23+と比べると5000万画素+1200万画素+1000万画素なのでまあまあ互角。もちろんセンサーサイズが異なるので(Galaxy S23+のほうが上位センサーを搭載)そのまま比較できませんが、Galaxy S23 FEでも十分満足できる性能であることがわかります。

なお個人的にはカメラ周りに余計な文字や装飾の無いこのデザインは好きなのですが、今回比較している2モデルの外観上の差異がわかりにくいように、見ただけで「Galaxy」とわかる反面、どの機種なのかの判別が難しいところ。海外で多数出ているGalaxy Aシリーズも同様なデザインの製品が多く、サムスンとしてもこのカメラデザインでいいのかどうか、実は悩んでいるのではないかなどと思ってしまいます。

スマートフォンの進化は激しく、チップセットですら半年ごとにアップグレードされている今、各メーカーは新製品の投入サイクルを最低でも1年、中国メーカーでは半年や4カ月おきにしており、ユーザー側としても製品の購入タイミングが悩ましいところ。

それに対してGalaxy S23 FEは前モデル「Galaxy S21 FE 5G」発売が2022年1月だったので、2年弱ぶりの新製品となります。Galaxy S21 FEは今でも売られており、サムスンの中では隠れたベストセラーモデルになっています。Galaxy S21 FEはメインカメラ性能こそ1200万画素でしたが、Snapdragon 888を搭載しており今でもまだ十分使える性能です。Galaxy S23 FEも次のモデルが出るのが2年後くらいと考えると、カメラやチップセット性能はそれを見越したものを搭載しているとも見れます。

カメラ性能で1つだけ特筆するとすれば、動画は8K 24fpsに対応しています。各社のフラッグシップモデルを見ると、たとえばファーウェイは8K録画には対応していません。サムスンは積極的に上位モデルで8K録画に対応させていますが、このGalaxy S23 FEでも8Kで動画が撮れるとはちょっと驚きです。ちなみにGalaxy S21シリーズは8K対応でしたが、Galaxy S21 FEは非対応でした。

8K動画はそもそも再生環境が整っておらず、8Kで録画する必要はあるのかというと微妙なところ。また数年もすればFHDや4Kから8Kへのアップスケーリング技術も向上しているでしょう。そうなると4K 60fpsで動画を撮っておいても将来の8K時代に対応できると考えられます。とはいえTVメーカーとして8K TVを多数出しているサムスンだけに、「スマホで撮ってそのまま8K TVで見られる」という点は製品販売の一つのアピールポイントにできるのかもしれません。

このGalaxy S23 FE、個人的にはサブ用途としてかなり気になる存在です。マレーシアとシンガポールで実機を触りましたが、デュアルnano SIMカード+eSIM仕様なので、SIMを3つセットしておき「物理SIM 2枚」または「物理SIM 1枚とeSIM」を同時に利用できます。ahamoのようにローミングが自在の契約が出てきているとはいえ、現地でSIMを買ったほうが安いケースはまだまだ多くあります。マレーシアでは後発キャリアYESのプリペイドSIMカードが30リンギット、約1000円で1か月5G定額(テザリングは12GB)。安いホテルなら5G SIMのほうが高速です。現地SIM活用のためにも最大3つのSIMをセットしておけ、さらにカメラ性能もいいGalaxy S23 FEを買おうか悩んでいるところです。

サムスンのスマートフォン、Galaxyシリーズは日本でも折り…