ファーウェイのスマートウォッチが働く人の健康を守る

スマートフォンの通知を受けたり支払に使えるなど便利なスマートウォッチですが、個人向けだけではなく業務用途としても普及が広がっています。しかも働く人の健康や安全を守るという、本格的なヘルスケアソリューションに使われているのです。

日本でもスマートウォッチ製品のラインナップを強化しているファーウェイは、2024年1月24日から26日まで東京ビッグサイトで開催された第3回 スマート物流EXPOで、同社のウェアラブル製品を使ったパートナー企業のソリューションを紹介しました。

今やスマートウォッチは心拍数や血中酸素濃度など生体データを測定できるセンサーになっており、さらに利用者の歩行数などの運動データ、どの場所にいるかという位置情報も取得できます。スマートフォンと異なり肌身離さず身に着けるデバイスなので、それらの情報をリアルタイムに取得できるのです。ファーウェイ・ジャパンの法人営業本部・井上千郷シニアアカウントマネージャーによるとファーウェイは中国にヘルスケア関連の研究を行う「ファーウェイヘルスラボ」も開設しているとのこと。日本でも同分野には注力しており、2023年には100社近くと関連サービスの開発や研究を進めているとのことです。

ファーウェイのウェアラブルデバイスは運動や生体データをより正確に取得できるという、ハードウェア性能の高さが大きな利点です。健康管理に重要な心拍数の測定技術「TruSeen」もこの7年間で5回アップデートが行われ、年々精度と性能を高めています。

しかしファーウェイのウェアラブルデバイスはソフトウェア面でも大きなメリットがあるといいます。スマートウォッチなどから取得した生体・運動データはファーウェイのヘルスケアアプリだけではなく、企業が自社開発したアプリでも利用できるのです。SDKが公開されており、データもファーウェイのクラウドを利用せず自社サーバーで完結させることができます。セキュリティーや個人情報の取り扱い面で安心したソリューションを開発できるわけです。

では実際にファーウェイのウェアラブルデバイスを使った3社の実例を紹介します。

enstemはトラックなどのドライバー向けの安全ソリューションを提供している企業。運送業界では「2024年問題」に対応すべく、ドライバーの健康や安全を管理するシステムの導入が進んでいます。アマゾンの荷物の運送といった身近なところだけではなく、コンビニに卸す商品の配送など荷物の運送は重要な社会インフラになっています。enstemはファーウェイのスマートウォッチを使ったドライバー向けの「Novi for Driver」を提供中、さらに今年4月には倉庫や工場の作業員向けに「MAMORINU」をリリースする予定です。

Nobi for Driverはスマートウォッチがドライバーの心拍データなどから眠気などを事前に感知しバイブレーションで通知してくれます。もちろん日々の健康状態も記録可能。データは運転管理者も共有できるのでドライバーの管理にも役立てられるとのこと。また利用している「HUAWEI WATCH 4」はeSIM内蔵のためどこからでもデータを共有でき、さらにスマートフォンやスマートウォッチの扱いに不慣れなドライバーでも使いやすいとのことです。

「MAMORINU」はドライバー向けソリューションを倉庫や工場の作業員向けとしたもので、健康管理のほかに倉庫で転倒した際はスマートウォッチのモーションセンサーが感知しSOS発信を行うといった機能も搭載。管理者が作業員の休憩を指示できるなど、ウェアラブルデバイスを使った新しい作業員管理が可能になります。

enstemの山本寛大社長によるとNobi for Driverは発表以来多くの物流関連企業への導入が進んでおり、MAMORINUの問い合わせも多いとのこと。今後はさらに別業界にもスマートウォッチを使ったサービスの開発を検討しているとのことです。

スマートウォッチを使ったヘルスケアサービスを開発して3年というITbookテクノロジーは、ファーウェイのリストバンド型デバイス「HUAWEI Band 8」などを使った建築現場作業員向けの健康サービスを提供しています。「みまわり伝書鳩」と呼ぶ建築現場の管理ソリューションの一部として、作業員の熱中症予防にリストバンドを使っているのです。みまわり伝書鳩では作業当日の温度や湿度から作業現場の暑さ指数を独自に生成。一方ウェアラブルデバイスは作業員の睡眠データや生体データからのストレスレベルを取得、両者のデータを基に作業員の健康を守ります。

みまもり伝書鳩はウェアラブルデバイス接続用にゲートウェーも自社開発しています。最大8台のデバイスがBluetooth接続でき、10秒ごとにデータを取得可能。作業員が離れた場所にいても、10メートル以内に近づくと自動接続され生体データをクラウドにアップロードします。なおクラウドはNTTコムのものを利用しており、セキュリティーも高いとのこと。高齢者向けサービスとして埼玉県のサービス付き高齢者向け住宅で使われていたり、熊本県が2021年に行った熊本県UXプロジェクトに参加するなど、アプリケーションの用途も広げています。

長時間屋外での仕事が多いゴルフ場作業員向けのソリューションを展開しているのがテクノクラフト。同社はゴルフ場管理システムやゴルフプレイヤー向けアプリなどを提供しています。特にゴルフカートの運行管理ナビゲーションでは国内シェア51%とのこと。

その中で近年はゴルフカートにキャディーが下敷きになる事故が起きるなど、従業員向けの安全管理システムが急務になっています。そこで開発したのが「マーシャルウォッチ」。ゴルフ場内で働くキャディーや清掃員などが「HUAWEI WATCH 4」を装着し、従業員の位置を管理者が常に把握できると共に、健康状態もモニタリングできます。従業員が気分が悪くなった時なども、スマートウォッチから直接SOS発信したり、付近の従業員に救助に向かう要請を管理者が行うことも可能になります。広大な敷地を仕事場とするゴルフ場だけに、作業員のみならず管理者にとっても安心のシステムと言えるでしょう。

これらのサービスは直接我々の社会生活の中では見ることのできないものばかりですが、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスはビジネスの現場だからこそ有用かつ重宝される機能を持つものも多いのです。企業のDX化を進めるだけではなく、そこで働く従業員の安全は、まわりまわって自分たちの生活を便利にサポートしてくれるものになるのです。

スマートフォンの通知を受けたり支払に使えるなど便利なスマート…