トレンドに逆行?iPhoneデザインの最新中華スマホ

ZTEは2023年11月14日-15日にタイのバンコクでZTE 5G Summit & User Congress 2023を開催しました。同サミットは世界各国で年に数回行われているようですが、アジアでの開催ということで情報を知っていれば参加したかったところ。残念ながらこのイベントを知ったのは開催終了後でした。

このイベントではタイや東南アジア向けのスマートフォンも発表されたのですが、新製品の1つが「クラシックなミニマリスト デザイン」というZTE「Blade V50 Design」。10月末にバンコクを訪問したときに取材した「Thailand Mobile Expo 2023」のZTEブースでちょうど展示されていたので触ってきました。

価格を抑えたエントリーモデルなのですが、このデザインはiPhoneにかなり類似しています。最近の中国メーカーのスマートフォンはiPhoneデザインを模倣する製品はむしろ少なくなっており、ここまで似ているものは珍しいくらい。iPhone系のカメラを片側に寄せた背面デザインも台座の形状を変えるなどして雰囲気を変えています。そのいい例がシャオミの「Xiaomi 14 Pro」。カメラ全体をガラスで覆って独自デザインに仕上げています。

ZTEの主張するシンプルなデザインというコンセプトは理解できるものの、iPhoneをパステルカラーにしたように見えてしまうのは考えすぎでしょうか。カメラ部分にあえて「50MP」と画素数を表示することで特徴を持たせているのかもしれませんが、すっきりさせるならここは何も記載しないほうがいいように思います。

主なスペックはチップセットがUNISOC T606(4G)、メモリは8GBでストレージから最大10GBを仮想的に利用できるという、中国メーカーでは最近標準ともいえる機能を搭載。ストレージは128GBまたは256GB。ディスプレイは6.6型2408 x 1080ピクセル90Hz駆動、バッテリーは5000mAhで22.5Wの急速充電に対応します。

本体の厚みは8.3mmとスリムですが、iPhoneのほうが薄いですね。側面の角のエッジを立てたデザインはiPhoneに限らず今年のトレンドデザイン。

フロントカメラは水滴型ノッチ、メインカメラは5000万画素で、4cm接近撮影可能なマクロと200万画素深度測定の3つを搭載。全体的な質感に安っぽさはなく、背面のガラス仕上げなどは素直に評価できます。価格も3499バーツ、約1万5000円と格安です。

1万円台の価格でiPhoneっぽいデザインのスマートフォンが買えるのを歓迎する消費者もいるのでしょうが、もう少し何かしらZTEらしい特徴が欲しかったところ。コストは上がりますがZTEはフロントカメラをディスプレイの下に埋め込んだUDC(Under Display Camera)を採用したモデルを複数出しています。iPhoneのダイナミックアイランドと真逆のUDC採用で驚かせてほしいとも思ってしまいます。

中国メーカーのスマートフォンの最近のデザイントレンドは「円形のカメラ」。iPhoneっぽいデザインではなく、背面上部中央に丸い台座を配置するデザインが流行っています。もともとはハイエンドの高性能カメラフォンでそのデザインの採用が進みましたが、最近はローエンドモデルも同様の形状を採用。たとえばこれはファーウェイの低価格モデル「Enjoy 60X」。

このようなトレンドの中でHONORが11月10日に発表した「HONOR X50i+」はiPhoneっぽいデザインを捨てきれないのか、円形台座を端に寄せるという不思議なカメラデザインになっています。このあたりHONORとしても差別化を図るべく試行錯誤しているのでしょう。

ちなみに円形カメラデザインを採用することで、ケースのカメラ部分にフィルターのネジを切ってカメラ用のフィルターを装着可能にするケースをシャオミなどが販売しています。「Xiaomi 13 Ultra」のケースはグリップも装着可能でカメラ同様の使い勝手を提供。まあこのように各社のカメラデザインが円形に向かう中で、あえてiPhoneデザインを採用することでBlade V50 Designは逆に目立つ製品になるのかもしれません。

ZTEは2023年11月14日-15日にタイのバンコクでZT…