CESでARグラスをいろいろと試してみた【CES2024】

今年のCES 2024で目立っていたデバイスの一つがARグラス。アップルのVision Pro発売前ですが、昨日てんこ盛りで高性能なVision Proに対し、ARグラスは普通の眼鏡と変わらぬ大きさと装着感で、目の前に大型のバーチャルスクリーンが広がります。また通知や情報を表示するスカウター型の製品も多くみかけました。それらの中から気になったものをいくつか紹介します。

TCL RayNeo X2

実はTCLはCES 2024で新しいスマートグラス「RayNeo X2 Lite」を発表したのですが、ブースに行っても連日長蛇の列で試すことができず。ひとつ前の製品である「RayNeo X2」を試しました。めがねのつるの部分のタッチやスワイプでメニューを動かし、通話、通知、ナビゲーションなどを表示。スマートウォッチ機能を眼鏡の内部に表示するようなイメージです。

また両レンズの間にはカメラもあり、写真や動画撮影が可能。さらに翻訳機能を使えば海外で外国語で書かれたレストランのメニューを、カメラを通してリアルタイムに日本語などに変換してくれます。また内蔵のスピーカーを使っても相手の話していることを翻訳し、画面内に表示可能。このようにスカウター機能がメインなので、動画や写真を楽しむというよりもビジネス向けの製品と言えます。

Everysight MAVERICK

デザインを重視したARグラスで、流線型のようなデザインはどことなくスポーティーな雰囲気。これもメガネの内側に640 x 400 ピクセルのカラーマイクロLEDディスプレイを搭載したスカウターで、通知やナビゲーションを表示。47gと軽量フレームでつけていることを気にせず使えるとも言います。

カメラは無いため写真撮影や画像認識は出来ませんが、スピーカーはあるので通話や音声録音に対応します。なおBMWからオートバイ向けのARグラス「Motorrad ConnectedRide Smartglasses」が販売されていますが、このEverysight社が開発を手掛けており本製品と性能はほぼ同等のようです。

NIO ES8 EV / XREAL AR Glass

NIOという中国のEVメーカーの自動車がXREALブースに展示されていました。NIOは自社ブランドのスマートフォンを中国で販売するなど、それはそれで注目すべきメーカーです。CESではES8 EVを展示していたのですが、車内に秘密が隠されていました。

車内に見えたのは真っ赤なARグラス。XREALのARグラスで、NIOのEV用の特注とのこと。このES8は車内にテスラのようなインフォテイメント用の12.8インチ ED 1728 x 1888ピクセルの大型ディスプレイを搭載していますが、それとは別にARグラスが装備されており映画やエンタメを楽しむことができます。助手席や後部座席に座って車内のディスプレイをずっと見るのも疲れるもの。ARグラスは車載用途にも向いているのです。

Mojie AR Glass

中国のZhuhai Mojieはスマートフォン通知を表示できるARグラスを展示しました。自社開発した樹脂回折導波路と体積0.3ccという超小型なニアアイモジュールを開発し、ARグラスの小型軽量化・省電力化が可能になるとのこと。なお同社の技術は2023年広東省優秀ハイテク製品にも選ばれています。

Mojieは自社ブランドでの展開は考えておらず、CESに出展したのもOED先となる大手企業を探しにきたとのこと。つまりMojieがARグラスの開発と生産を行い、どこかの企業のブランドをつけてその企業がこれを販売するというわけです。ARグラスのOEMが成立するということは、それだけ市場が広がっているということなのでしょう。

Socialdream DREAMSENS

巨大なヘルメットのようなDREAMSENSはARグラスではありません。しかしスマートフォンなどの画面を目の前に表示するという機能を持っており、VRではないのです。Vision Proをさらに大きくしたようなデザインですが、ドーム型の本体の内側にプロジェクターからの映像を表示する構造になっています。

まだ開発中の製品のため実働はしませんでしたが、目の前に360度とメーカーが謳う、全画面表示が可能です。実際は180度も無いと思われますが、本体内部(頭の上あたり)に取り付けた小型プロジェクターからの映像を内部いっぱいに表示できます。

今回はモックアップですが、重量はまだ重く首を動かそうとすると本体を手で支えなくてはならないようでした。製品化されるときはより軽量になり、首への負担も減らしてくれるでしょう。もともとは医療用として開発したものですが、ゲーム用途などエンタメ向けの製品として応用できるのではないかと、CESでは製品コンセプトを披露するために展示が行われました。

これらのほかに大手メーカーのARグラスも多数展示されていたCES 2024。来年はARグラスをつけたスタッフが(グラス内側に表示されるカンペを使って)商品説明をする姿も当たり前になっているかもしれません。

今年のCES 2024で目立っていたデバイスの一つがARグラ…