研究室内にまるごと平屋! IoT研究室の見学に行ってきた

 皆さんはのお家はどの程度IoT化されているでしょうか?

 なにそれ? という方のために念のため説明しておくとIoTとはInternet of Things(物のインターネット)の略で、様々なデバイスがネットワークを通じクラウドで繋がっている状態を指します。これによりインターネットを通じて家電を操作したり、ネットワークにつながったセンサーを起点に照明をつけたり消したりといった自宅の自動化が可能となります。

 私はこの自動化というものが大好きで、自宅にはSwitchbot製品が20以上、Alexa関連が10以上、その他ネットワークにつながるテレビ、エアコン、レコーダーなど様々なものが稼働しているのですが、その話はまた別なところでするとしましょう。

 今回はそういった製品化される前の技術を研究する大学の研究室にお邪魔したとときのレポートです。訪問先は京都産業大学平#研究室です。なお#は誤字ではなく御本人が長くそう名乗られているため表記を合わせています。平井さんという研究者の方はたくさんいらっしゃいますが、平#さんは検索すると一発で出てくるので便利ですね。

 京都産業大学は京都市下京区。京阪電鉄鴨東線の出町柳駅や京都市営地下鉄の国際会館駅や北大路駅からバスで行くことができます。

 平#研究室は情報理工学部の建物の中にあるのですが、研究室に入ってまず驚くのは部屋の中に玄関があることです。

 その名も「Ξ(クスイー)ホーム」。ガンダム好きな方、特に「閃光のハサウェイ」をご覧になった方は思い当たるでしょうが、ΞガンダムのΞですね。なおホーム玄関にはアニメ化以前からΞガンダムのプラモデルが飾られています。

 玄関ではこのようにプロジェクションマッピングによる情報提示が行われています。単なる演出ではなく、例えば天気と連動することによって玄関を開ける前に外の天気を察して傘を持って出るというようなことが可能なんですね。

 Ξホームの玄関。宇宙世紀の家はどの程度IoT化が進んでいるでしょうか?

 そしてリビングに入ると……

 8Kの巨大スクリーンがお出迎えです(以前訪れたときは4Kでした) 残念ながら映像は4Kであるため8Kの真価はまだ味わっていないのですが自分が移動しているような錯覚を覚えるほどの迫力です。上下に四角いくぼみがありますが、これはレーザーセンサーを設置する場所で、これによって手の位置を検知し、タッチスクリーンのように画面を使うことができます。電子書籍を本棚のようにモニタの中に並べ、タッチした書籍をタブレットで読むようなデモが行われていました。

 天井でもこのような情報提示が行われています。プロジェクションマッピングですね。

 ところで天井の謎の模様が気になりませんか? フラッシュ撮影するとこのように映ります。

 これは再帰性反射材で作られたマーカーです。再帰性反射材は光を入射方向に返す性質を持っているため、画像マーカーの提示に向いているんですよね。例えば家の中でロボットを使うとき、赤外線ライトでマーカーを照らし、それを赤外線カメラで撮影することでマーカーを読み取ることができます。

このマーカーはドットのパターンの組み合わせによってすべて違うものとなっているため、マーカーを読むことでロボット自身が自分の絶対位置を認識することができます。電源オフの状態で動かされて別な部屋に置かれても問題なく動けるわけですね。現在では機械学習などによりマーカーなしでも絶対位置を把握する技術が出てきましたが、過渡期にはこうした技術が研究されていくわけです。

 キッチンには人工大理石を利用したインタフェースが展示されています。

 人工大理石は大理石に似た樹脂素材ですが、光を通すため人工大理石パネルの下にディスプレイなどを設置すればキッチンパネルそのものに情報を表示することができます。このデバイスはLEDでの表示をしつつ光センサーでタッチを検知できるよう設計されていますので、水を使うところでも使えるタッチディスプレイとして使用可能となります。

 洗面所にはハーフミラーを使用した全面ディスプレイが設置されています。このあたりは実際に導入が進み、モデルハウスなどでも見ることができますね。

 もちろんバスルームもIoT化されています。

 近年は機械学習により浴槽を叩いたときの音の伝わり方によって浴槽のどこを叩いたかが検知できるようになっています。スマートフォンなどのタッチパネルは手が濡れていると使いにくいですが、水濡れ前提の環境ではこういった技術が役に立つわけですね。天井に仕込まれたプロジェクターとの組み合わせで、浴槽に浸かりながら縁に表示されたインタフェースで音楽や画面をコントロールなどといった使い方ができます。

 駆け足で紹介してきましたがいかがでしたか? 現在は安価に導入できるIoTシステムがだいぶ普及してきましたが、平#研で研究されているようなキッチンそのものや浴槽そのものをタッチ、タップできるような仕組みは今後まだ普及の余地があるのではないでしょうか。

 ΞHomeそのものについてはこちらに紹介がありますのでご興味ある方はぜひご覧になってみてください。最新の技術に触れて未来を想像するのは研究室見学の醍醐味です。中にはまったく別方向に発展したために日の目をみなかったものや、すでに普及してしまったものなどもありますが、こうやって誰も見たことがない、作ったことのないものを次々生み出すクリエイティブティが我々の未来を支えているわけです。

 皆さんも機会があったら大学のオープンキャンパスや研究室公開など参加してみてください。特に中高生のお子さんがいるご家庭にはおすすめです!

 皆さんはのお家はどの程度IoT化されているでしょうか?  …