Uber? Go? 夜の都内でオペレーションの仕組みをタクシードライバーに聞く。

都内某日、雨降る夜、会社に新しく加わったエンジニアの歓迎会のため遅くまで飲んでいた日のことです。

飲み始めた頃は少し強いかなと思っていた雨も解散間近には店舗から外に出るのも躊躇うほどの大雨になっていました。駅からやや離れた場所だったため全員でタクシーに乗り合わせようと、同僚の1人がタクシー手配アプリの「Go」でタクシーを手配を進めてくれました。

都内某日、雨降る夜(筆者撮影)

ところが数分経ってもなかなかタクシーが捕まらず、他の人も同じように自身のスマートフォンでGoアプリを眺めるも回答は同じ、「周辺に手配可能なタクシーはありません。

筆者は試しに海外で時折使っていた「Uber」を開いて目的地を入力しました。すると、ものの数秒でタクシーが手配されてしまいました。さらに驚いたことにアプリ内の周辺マップには待機中のタクシーのアイコンが5台ほど見受けられました。

と、当初予定していたよりもやや時間をおいてタクシーに乗り込むことができた筆者一向ですが、その場にいたのが筆者を含むエンジニアと経営者兼マーケティング担当だったためタクシーの後部座席での話題は「UberとGoでなぜこうもタクシーの手配に差が出るのか?」となりました。

「乗り込んだタクシーにはGoのロゴがプリントされているから登録しているドライバー数の差ではなさそうだし、配送手配時のアルゴリズムに差があるのか?」、「周辺には5台も待機しているタクシーがあったのだからそれはないだろう」など理由を考えるも見当がつかないためマーケティング担当が思わず口を開いた。

運転手さん、つかぬ事をお伺いしますが、なぜ配送アプリが違うだけで配送予約に差が出るのでしょうか?

すると、運転手さんがご自身の知りうる範囲内で丁寧に説明してくれました。

お客さん、それはですね……。」

そもそもUberとGoでの大きな違いは「お客様の行き先がわかるかわからないか」なのです。Uberでは行き先が事前に分かるのに対し、Goでは「お客様の行き先が分かる場合もあれば全く情報がないままお客様のピックアップに行かなければならない」状態になることもあります。加えて、このようなアプリでは運転手のアプリ上での評価が一定以上になると繁忙エリアが可視化される仕組みがあります。そのため、行き先が事前に判断できるUberの方がその日の営業戦略を立てやすいのです。

また余談ですが、最近Goは東京近辺で有名になりユーザーが増えている一方、さまざまなお客様への対応が求められるようになりました。私や同僚が遭遇したケースでは、配送予約をされたお客様が我々の到着を待たずして別のタクシーに乗り込むことがありました。当然我々はアプリ上で配送指示があればお客様のもとへ伺わなければならず、そうでない場合はペナルティが発生しますので、いずれにせよ損をします。ただし海外のお客様は必ずと言って良いほど配送を待っていただけるのでとても助かります。

そしてGoでは複数のタクシーに配送指示が行くようになっております。さらにはGoの製作元は日本交通のため配送手配は日本交通所属のタクシーが優先されます。結果、Goを利用した集客は一部運転手にとっては激戦になってしまいます。一方でUberでは運転手一人に指示が飛ぶためある種平等です。こういったいくらかの理由から夜間の繁忙時間帯ではGoをオフにして営業をしている運転手も少なくないと思います。

以上、運転手さんのコメント

「そういえばお客さん……、」

後部座席の筆者一同「なるほど」と静かに感心している中、運転手さんが笑顔で言いました。

お客さん、ラッキーですね。話に夢中でメーターをオンにするのを忘れていました!

車内一同大笑いしながら目的地までの残りの道をたどりました。もちろんチップは満額払わせていただきました。

都内某日、雨降る夜、会社に新しく加わったエンジニアの歓迎会の…