対面イベントにおすすめなアイコン入り名札を作る方法を徹底解説

先日開催されたWEB+DB PRESSの22.9周年イベント、スタッフの1人として参加してきました。

WEB+DB PRESS創刊22.9周年パーティ(副題 うまい肉とIPA) – connpass
https://connpass.com/event/285724/

今回担当した業務のうち、受付担当として今回作成したのが、アイコン入りの名札シール。Web系のイベントでは、SNSでやりとりしているけどリアルの顔や名前は知らない、という関係性も多いので、普段Webで見ているアイコンが名札にあったほうがコミュニケーションしやすいかな、と思って作成を担当したのですが、当日受付や会場でも名札を喜んでいただける声をちらほら耳にできて、がんばって作ってよかったなと思いました。

また、参加者の数名から「どうやって作っているの?」という質問も受けたので、この場を借りて名札の作り方を紹介します。記録がてら書いていたらかなり長くなってしまったのと、いろんなノウハウを混ぜ込んで作っているので、見出しを見ながら気になる箇所だけをチェックしてご覧ください。

なお、アイコン入り名札印刷はいろんなやり方がありますが、今回選んだのはひたすら手でやるというデジタルなのにアナログな手法。こういうのはプログラミングでサクッとやる手もあるとは思いますが、私自身がプログラミング経験がないことに加えて、往々にしてこういうイベント担当はエンジニア職ではなく事務職が担当するケースが多いので、人力でありつつもできるだけ時間をかけずに作成できる方法を模索しました。

また、名札を作るときの課題は「どうやって名札を作るのか」のほかに、「どういう紙に印刷するのか」という選択肢があります。紙については後述しますが、今回は手離れのいいシールに印刷して胸に貼ってもらうことにしました。このあたりは自宅にプリンタなどある人は市販のラベルシールなどを使っても良いと思いますが、自宅にプリンタをおかずコンビニプリントに頼っている人向けのお話を最後にまとめます。

事前準備

あらかじめ用意するのは以下のツール。Wordを使う関係上必然的にWindows PCが必要ですが、Mac版Windowsでもいけるのかもしれません。そのあたりは未検証です。

  • Chrome系ブラウザ(VivaldiやEdgeでもOK)
  • Pasty(Chrome拡張機能)
  • Word
  • 参加者名簿(ExelまたはCSVなど)

Excel関数「CONCATENATE」でプロフィールURL一覧を作成

まずはじめに、名札で印刷したい名簿データを作成します。これはイベントの申し込みをフォームで受け付けていればデータとしては揃っているでしょう。今回はconnpassでイベントを作成していたので、その中から「著者枠」「購読者枠」といったステータスを「属性」とし、参加者リストに掲載されない運営メンバーは手動で追加しておきます。

さらに作業を楽にするためにもう一手間。あとでアイコンを取得するために、参加者のconnpassプロフィールURLを用意しておきます。

connpassの場合、プロフィールURLは https://connpass.com/user/【ユーザーID】 という形式で、これをExcelやGoogleスプレッドシートにあるCONCATENATE関数で組み合わせて作ります。

CONCATENATEは、複数のセルを文字としてくっつける関数。今回は申し込み者のユーザーIDはデータとして取れているので、プロフィールURLのうち、ユーザーIDの前のhttps://connpass.com/user/を手動で設定、ここにユーザーIDのセルをくっつけます。

実際の関数は、B2にユーザーIDが入っている場合、このような記述になります。

=CONCATENATE("https://connpass.com/user/",B2)

作成する場合は、申し込み情報の空いた列を選択し、メニューの「数式」から「関数の挿入」を選択。

表示されたウィンドウから「CON」と入力して「検索開始」をクリック、「CONCATENATE」を選択します。

表示されたウィンドウの「文字列1」には、手動で入力したいhttps://connpass.com/user/をペースト、「文字列2」にはユーザーIDが入っているセルを指定して「OK」を選択します。このときセルの行がずれないように注意しましょう。この関数を入力しているセルがL2だとしたら、IDを指定するセルの数字も2になっていれば同じ行が指定されているのでOKです。

これでプロフィールURLが取得できました。あとはざざっとコピーするだけ。プロフィールURLが作成されたセルの右下にマウスカーソルを合わせ、カーソルが十字アイコンになったらそこから下にガガっとドラッグします。

これで全員のプロフィールURLが取得できました。これは後で使うのでいったんここまで。名札のデザインに入ります。

Wordの差し込み印刷で名簿データを入力

次に使うのはWordの差し込み入力機能。これを使うと名簿のデータをそのまま入力できるので、手入力のミスを減らせます。

まずはWordで名札の元を作ります。メニューの「差し込み文書」「差し込み印刷の開始」から「ラベル」を選択。

メーカー別でラベルが選べます。市販のラベルシールを使うのであればそのメーカーを、自分でデザインするなら好きなデザインを選びましょう。今回はA4用紙1枚で8面取れるようにしよう、ということだったので、エーワンの8面サイズを選択しました。

これが実際のラベル。差し込み印刷で表を作るとデザインの変更ができないので、作業中に崩れたりする心配がありません。

ただ、市販のラベルシールに印刷するならいいのですが、今回はA4用紙のシールに印刷してカットして使おうと思っていたので、余計な隙間があるとカットの手間が増えてしまいます。なのでちょっとサイズをカスタマイズ。先ほどのラベル設定画面から「サイズの詳細」を選びます。

サイズが細かく出ているので、これを見ながら調整します。今回でいうと「ラベルの高さ」と「垂直方向の間隔」が同じサイズなら隙間がなくなるはず、ということでラベルの高さを垂直方向の間隔と同じ「69mm」に変更します。

変更のアラートが出るので「OK」を選択。

無事に隙間がなくなりました。さてここからが本番。

再度メニューから「差し込み文章」「差し込み印刷の開始」から、今度は「差し込み印刷ウィザード」を選びます。

右側にウィザードが表示されるので順に進めていきます。今回は一度ラベルで設定済みなので、そのまま「ひな形の選択」で先に進みます。

続いてひな形の選択。先ほどカスタマイズしたデザインそのまま使うので「現在の文書を使用」で先に進みます。

続いて用意しておいた名簿データを選択。「既存のリストを使用」を選び「参照」でファイルを指定します。

Excelの場合、シートを選べるので該当のシートを選択。

データが正しく読み込めているのを確認して選択します。

Wordの画面に<<Next Record>>と表示されたら、「ラベルの配置」を選んで先に進みます。

ここからいよいよデザイン作成画面に。左上の四角の部分だけを編集するようにしてください。全体選択とかで<<Next Record>>が表示された他の四角を編集するとこの後のデザイン反映が効かなくなるので注意。

まずは用意しておいた名簿からデータを引用します。「差し込みフィールドの挿入」を選択。

挿入したいデータを選択。まず手始めに「著者」「購読者」などの属性情報を選んで「挿入」を選択します。

画面に反映されました。

同様の操作を繰り返して、「表示名」で表示したい名札の名前を選び、差し込みデータの操作は完了です。

あとでアイコンを入れる場所を残しつつ、デザインをカスタマイズ。左上の四角の中でフォントサイズやフォントの種類、場所などを調整します。詳細は後述しますが画像を入れるために表示名はあまり改行せずに上のほうに位置しています。

テキストを配置したら次にイベントの画像を入れます。ロゴはデザインしやすいよう、テキスト位置と関係なく置ける設定にしました。

デザインが終わったらウィザードの「複数ラベルに反映」を選択しましょう。左上のセルで作成したデザインが他のセルに反映されます。問題がなかったら「ラベルのプレビュー表示」で次に進みます。

実際のデータがプレビュー表示されます。ここはまだプレビュー画面なので、「宛先」を変えて実際のデータを確認できます。ただ操作が重いので、実際にデータを反映してからあとで修正したほうが楽かも。問題なければ「差し込み印刷の完了」で実際にデータを反映します。

これですべてのデータが反映されました。さらにここへ画像を入れていきたいので、「各ラベルの編集」を選び、「すべて」「OK」で、新たな文書を作成します。

見た目は同じですべてのデータが反映されたWord文書が作成されました。ここからいよいよアイコンを入れ込んでいく人力作業が始まります。

ブラウザのドラッグ&ドロップと拡張機能Pastyの合わせ技でアイコンを取得

アイコン取得作業で使うのは以下の4つ。大画面ディスプレイを使える人はこの4つを分割して表示しておくと便利です。Pastyをインストールしていない人はリンク先から予め設定しておいてください。

  • Pastyが使えるブラウザ
  • 名簿データ
  • ラベル
  • フォルダ(中身の入ってないフォルダを作成)

まずは先ほど作成したプロフィールURLを適当に選択してコピーします。今回は後で操作を確認できるよう先にセルに色を付けてからコピーしてますが、そのままコピーするだけでもOKです。

続いてブラウザを選択し、Pastyアイコンを選択します。するとクリップボードにあるURLを自動的にタブで展開してくれます。

展開している間に一番左のタブを表示。

ここから表示されたアイコンをフォルダへドラッグ&ドロップすると画像が保存できます。このドラッグ&ドロップでの画像保存は結構重宝するので、覚えておくと便利です。なお、記事執筆の過程でキャプチャ取りそびれた関係で、以降のWordにはロゴが入ってませんが、作業手順として影響はないのでそのまま読み進めてください。

ドラッグ&ドロップした時点で保存したアイコンは選択状態になっているので、Ctrl + Cなどのキーボードショートカットでコピー、Wordの該当箇所にCtrl + Vで貼り付けます。表示が崩れますが作業の効率上、この時点では位置を気にせず貼り付け作業だけを繰り返します。

アイコンの貼り付けがすべて終わったら、Wordの画像をダブルクリック、縦サイズを変更して名前が出てくるちょうどいいサイズにします。ここは何度かやってみてちょうどいい数値を決めましょう。

それがおわったら次の画像をクリックし、Ctrl Yで画像サイズの編集を繰り返しで反映します。これが終わったら今度は画像を中央表示にし、Ctrl + Yの繰り返しでデザインは一通り完了です。中央表示はCtrl + Eを使ってもOKです。

最後に属性のカスタマイズ。今回、参加者の属性ごと色を分けたかったのですが差し込み文書ではみんな同じ色になっているので、違うステータスの人を見つけたら該当の文字列をドラッグで選択、出てきたウィンドウで背景色を変更します。

あとは同じステータスの人に対してひたすらctrl + Vで貼り付け。なおこのデータでは作成の便宜上、本来の属性とは違う変更をしております。

作業が全部終わったら、一通り全部の名札を目視でチェック。文字数が多い人はデザインが崩れている可能性があるので、フォントを小さくしたり改行したりして調整いれたら名札データの作成は完了です。

この作り方はかなり力業ではあるのですが、差し込み印刷が終わった後の作業は、アイコン挿入が1人につき数秒程度なので、仮に1人10秒で作業したとして、200人なら30分程度で終わります。実際には多少の作業ミスもあるとして、1時間くらいみておけば作業時間は十分かと。ネットで動画でも見ながらながら作業で十分こなせます。

また、この操作はひたすらキーボードショートカットを使うので割と指が疲れます。そのためキーボードショートカットを登録できるキーボードや左手デバイスとかを事前に準備しておくとより効率的にできるかも。私はOrbital2 STEARNAという左手デバイス持ってたんですが、作業始めてから気がついたので時遅しでした。

クリエイティブ制作をより楽にする左手デバイス「Orbital2 STERNA」 – Just another Orbital2 Products BRAINMAGICサイト site
https://brainmagicproduct.com/orbital2-sterna/

アイコンを挿入して見た目を整えるまでの作業をダイジェストで動画にしてみたので、こちらも合わせてご確認ください。動画撮影用にゆっくり操作していますが実際にはもっと早いです。

注意点としては、差し込み印刷を使っているので名簿が間違ってなければ名前は間違わないはずですが、アイコンの違いがないよう目視のダブルチェックも必要。connpassの場合はアイコンと名前がプロフィールページに表示されているので、それを見て名前とアイコンが合っているかを確認しながら進めていきましょう。

あとたいていのアイコンはドラッグ&ドロップで取れるのですが、Discordだけはちょっとやっかいでこの方法が取れません。できるだけDiscord以外のアイコン取得方法をオススメするとして、どうしようもないときはブラウザの開発者ツールで無理矢理URLを取得しました。

プリンタがない人はキンコーズのシール印刷がお薦め

最後に作成した名札の印刷方法。名札は大まかに「紙に印刷してカードホルダーに入れる」「服に貼れるシールにする」という2通りがあります。

カードホルダーはまとめて買うと安いものなら1個あたり10円程度で、印刷コスト含めても非常に安価。ただその一方で、カードホルダーは回収が面倒なのと、めくれて裏になってせっかくの名札が見えない、なんてこともあったりと、取り回しに不便なところもあります。

一方、シールにすれば最後は捨てるだけで回収は不要、衣服に貼るので裏返る心配もないのですが、問題はどこでプリントするかということ。家にプリンタがある人なら市販のネームラベルを使えば良いのですが、冒頭で触れたとおり、家にプリンタがなくコンビニのプリンタを使っている場合、コンビニだと持ち込みの用紙を使うことができません。

かくいう私もコンビニプリンタ派だったので、今回はキンコーズを使うことにしました。 キンコーズは店舗によりますが、持ち込みのPDFデータをA4サイズのシールに印刷してくれます。印刷費用も店舗によって異なるようですが、今回依頼した渋谷店は、A4用紙1枚が120円、シール用紙が追加100円なので合計220円。作業をセルフではなくスタッフにお願いする手数料が500円でした。

コピー・プリント・ポスター・名刺・製本などオンデマンド印刷のキンコーズ・ジャパン
https://www.kinkos.co.jp/

注意点としては、シールを台紙から剥がすための切れ目が裏面左右2カ所に入っているので、名札もA4用紙に2列で作ること。3列で作った場合、中央の台紙だけ剥がしにくいということになります。

また、今回印刷したシールは粘着力がさほど強くなく、汗をかくとすぐ取れてしまうという課題がありました。冬場であればそこまで問題ないかもしれませんが、粘着力を高めたいなら自分でシールを持ち込むという方法もあります。今回は試せていないのですが、渋谷店はシールの持ち込みも対応してくれるとのことだったので、粘着力の高いネームラベルを持ち込んで印刷してもらうのも手でしょう。

ここまでネームカードの作り方をご紹介しました。大変そうに見えますがある程度やり方をマスターするとトータルの作業時間は1、2時間もあれば十分なので、人力で頑張れる範囲かなと思います。これからリアルのイベントが増える中で、運営者の方々のお役に立ちましたら幸いです。

先日開催されたWEB+DB PRESSの22.9周年イベント…